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5. 叫ぶ男に湯あたり男

その男は、夕日に向かって何か叫んでいたというのです。 なんだかね~、確か、センロのバカヤローとか叫んでたわよ、とオバちゃんはいいます。

「センロ」ですか?センロ・・・セイロガン、セイロンコウチャ、セント・フランシスコ・ザビエル、セントウ、セントウのバカヤロー、いやいや、こんなとこでふざけてる場合か、やっぱ線路でしょ・・。

戸坂課長は隠れ鉄郎で、もしかしていいショットが撮れなくて、くやしまぎれにセンロのバカヤローと叫んだのか・・・。

線路沿いをたこ焼きをつまみながら肩を落として歩く戸坂課長の姿を勝夫くんは想像します。もちろんそこに女性の影などかけらもありません。

勝夫くんは線路沿いに何か戸坂課長の失踪の手がかりはないかと歩き始めます。

一途な性格の勝夫くんですから、眼光鋭く周囲に目を配ります。まるで容疑者の足取りを追う刑事のような形相です。

歩き疲れると公園のベンチに座り、完璧に女の線は消えた、となぜかそのことに異常にこだわります。

事件に巻き込まれた。助けを求む

遠目にスタバが見えたので、喉の渇きを潤すため、そこで一服することにしました。

珈琲を飲み終えると、AKB48の渡辺麻友似のウェイトレスに、戸坂課長の写真を見せ、みるからにタコ焼きが好きそうな男が最近ここに立ち寄らなかったかと尋ねます。

ウェイトレスが困り顔で首をかしげていると、奥から店長らしき50代の男性が出てきて、そういえば1週間ほど前、窓際の席で、何かブツブツつぶやいている、小太りでさらに老け顔の男性がいた、ちょっと目が座っていて怖かった、その人に人相がよく似ているといいます。

戸坂課長に間違いない、このスタバに立ち寄ったんだ。当然、1人だ、もちろん女の影などない、と勝夫くんは確信します。

この人が何か、と店長が聞くので、ええ、職場放棄と無銭飲食のかどで、と勝夫くんは適当に答えます。

なんとか手がかりらしきものがつかめたと、勝夫くんは小躍りして、一旦、宿に帰り、友子さんにメールをします。

内容は「僕は今軽井沢にいます。ここで事件に巻き込まれています。助けを求む」というものです。

ほんの冗談のつもりでしたが、これが後で大変なことになります。

スマホはいったい何処に

その後、勝夫くんは風呂に入り、フラリと外に出て、居酒屋に立ち寄ります。

「一体、なんで僕がこんな目に合わなきゃいけないんだ。ホントに専務はバカヤローだよ」と酔いが回るにつれ、専務への恨みがつのります。

ふとその時、土産物屋のオバちゃんがいっていた、センロのバカヤローというのは、センムのバカヤローのことじゃなかったかと気づきます。

しかしそれに気づいたからといって何が変わるというわけでもありません。

泥酔して、宿に帰り着くと、もうやってられね~とそのまま大の字になって寝入ってしまいます。

翌日、お昼過ぎ、勝夫くんは二日酔いの頭でフラフラと起き上がり、思わず時計をみて、友子さんに電話しなきゃと思ったのですが、スマホが見つかりません。

どうやら昨晩、居酒屋に置き忘れたか、あるいは帰りの道すがら落としたかのどちらかのようです。

この際、格安スマホを購入するかとふと思ったりします。
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お願いがあるんだが、きみのゆ・・・

ちょうどその頃、友子さんは、専務に呼び出されます。

ドアをノックして部屋に入ると、ゴルフのスイングのビデオを食い入るように見つめていた専務が、まあ座りたまえ、とソファにかけるようにすすめます。

そして、「実は、今月に入って君の課の人間が二人、軽井沢に行ったまま、音信不通になってる。一人は美人のキャディと駆け落ちしたに違いない。もう一人は、温泉で湯あたりして倒れたか、たぶんそんなとこだろう」というのです。

もしかして前者は戸坂課長で、後者は勝夫くんのことかしら。そういえば勝夫くんから「軽井沢で事件に巻き込まれた」というメールが来てたけど、その後何も連絡がないことを友子さんは思い出します。

「それできみにお願いがあるんだが。きみのゆ」といいかけたところで、専務の携帯に電話がかかってきます。

「ちょっと急用ができたから失礼するよ。この話はまたあとで」といい、専務はそそくさと部屋を出ていきます。

ライダースーツに身を包み

「きみのゆ・・」で話が途切れ、友子さんはそれがちょっと気になりました。

きみのゆ・・君の湯って銭湯のことかしら・・でもそれがどうかしたっていうの。

しかし、やはり気になるのは勝夫くんのことです。

ここ数日メールもないし、もしかしたら本当に温泉で湯あたりをして行き倒れになっているかも知れない。友子さんは少しばかり不安になります。

戸坂課長に勝夫くん、同時に二人の人間が軽井沢で消息を絶っている。

この課は風前の灯火だわ。もうこうなったら私が二人を探しにいくしかない。友子さんは腹を決め、有給休暇をとって、軽井沢に向かうことにしました。

友子さんはこうみえてもバイクを巧みに乗りこなします。

ライダースーツを身にまとった友子さんは、ココカラファインで遠出の旅のための必需品を買い込みます。

さらに、ブックオフで西村京太郎の十津川警部シリーズをまとめ買いしてリュックに詰めます。

そして、景気づけに酵素ドリンクをグイッとひと飲みすると、颯爽とバイクに跨り、エンジンをバリバリふかして軽井沢を目指しました。


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